シリカエアロゲルの熱伝導率はGWの半分以下!

BASFジャパンさんのご協力を得て、シリカエアロゲルをブランケット化した製品の熱伝導率を測定しました。
商品名はSLENTEX。昨年、マンハイムの本社を訪問した際にご紹介頂いた画期的な新断熱材です。

シリカエアロゲルは、地球上で最も密度の低い物質の一つ。不燃性、耐熱性を持つ無機断熱材です。

測定結果は、熱伝導率λが 17.8 [mW/m2/K]!!

一般的に市販されているグラスウールやロックウールの2倍の性能が確認できました。
付加断熱を含めて200[mm]以上の断熱厚さが課題となっている現在、半分の厚さで同程度の断熱性能を発揮するSLENTEXの活用方法に注目が集まりそうです。

slanted

ブランケット状のSLENTEXの表面熱流を測定するために、両表面にSUS304板を設置。
空気の流入出を抑制するために、四周にアルミテープを接着します。

sus板

熱伝導率測定に向けて、300×300×30[mm]の試験体が完成します。

試験体

試験体の両表面には、同寸法の熱流計を貼り付け。
人工気象室で両表面に温度差をつけ、定常状態での表面熱流と温度を測定します。

熱流計

人工気象室の熱伝導率測定用小窓に合うように、スペーサーとして断熱材を取り付けました。

枠取り付け

人工気象室の隔壁に試験体をセット。室温を20℃一定に維持しながら、屋外区の温度を徐々に下げていきます。
今回は試験体表面の温度差が40℃になるまで、5℃刻みで温度を変化させて測定を繰り返しました。

セット1

断熱材の薄肉化に向けた新たな方法論が導出できるよう、研究を継続していく予定です。

実験室
 

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K-house(千歳市)の環境測定を開始しました。

JUGEMテーマ:住宅

既にお伝えした千歳市にあるK-houseの室内環境とエネルギー消費量の測定を開始しました。
K-houseは3月まではショールームとして公開され、以降は入居後の実居住データを測定する予定です。
1月下旬ですが、札幌に比較すると千歳市の積雪量は非常に少ないことに驚きます。

外観

1FのLDKには、採光、換気、蓄熱のパッシブ機能を持った吹き抜け部分があります。
冬季でも日射量が多い千歳の気候を生かした建築デザインが、K−houseの特徴です。

吹き抜け

吹き抜けの上部には、この空間に接続するた内窓が3方向に設けられています。
この窓を開けていれば、階下の雰囲気を2Fでも感じることができるように工夫。
吹き抜け部に施工したe-プラスターで、環境変動を抑制しながら夜間の日射利用が可能になります。

吹き抜け上部

気温、湿度、CO2濃度、騒音などのデータを5分間隔で測定してくれるNetatmo。
データはクラウド上にアップロードされており、.csvや.xlsxフォーマットでいつでもダウンロード可能です。

温度計

K-houseでは、施主様の協力を頂き温水暖房システムの配管途中に熱量計を設置。
暖房で消費したエネルギーを1分間隔で測定して、データを蓄積しています。
今後は、室内外温度の測定値から予測される総熱損失量と、消費エネルギー量の測定値から、日射の有効利用率を評価していく予定です。

熱量計
 

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3題の研究成果を展示発表しました。

JUGEMテーマ:住宅

2月19日から北海道職業能力開発大学校で開催された、第13回北海道ポリテックビジョンに、今年度の共同研究成果を展示発表しました。

1題目は「NBD誘導体の光異性化反応を用いた蓄エネルギーシステムに関する研究」です。
光子エネルギーを分子内の歪みエネルギーとして蓄積し、触媒を用いて逆異性化することで、暖房や給湯に利用します。

従来のシステムでは、触媒の担持方法に課題がありましたが、銀電極で定電位印加することで、この課題を解決しました。

異性化と逆異性化のメカニズムを解明するために、数百回にも及ぶ実験を実施。
担当した学生さんの不断の努力で、ようやく新手法を確立することができました。

NBDパネル

教員発表の部では、三浦准教授による講演会も開催。
馴染みの少ない化学反応の世界を、聴衆にもわかりやすく解説頂き、講演後に活発な質疑も行われました。

三浦先生

2題目は「ポリマーデシカント材を適用した調湿建材に関する研究」です。

肺炎やアトピー性皮膚炎などの原因とも言われている冬の低湿度。
これを解決するために、吸放湿性能に優れたポリマーデシカント材を左官材料に調合。
住宅内で発生する20リットルもの水蒸気を壁に蓄積して、快適湿度環境を維持するシステムです。

会場では、開発した調湿建材と、比較のためにビニールクロスを施工した二つのユニットを展示。
内部にお湯を入れた容器を設置して、湿度変化の様子を見える化しました。
調湿建材の有用性がわかりやすく展示できたと思います。

デシカント


3題目は「粒状PCMを適用した蓄熱ダクトレス空調システムの負荷削減効果に関する研究」です。
3.11東日本大震災から間もなく5年。原子力発電の是非をめぐる議論は、今も国民的な課題です。

夏の冷房時期に生じる電力不足。これを解決するために、天井内部に蓄冷機能を持つPCMを設置。
電力需要が増加する午後の時間帯にこれを活用することで、省エネルギーに貢献しようというシステムです。

本年度は、大学内の新たな実験棟を設置。想定どうりの効果が期待できるのか実証実験を行いました。
コンビニエンスストアなど、24時間空調が必要な施設での利用に向け、研究開発を継続していく予定です。

ダクトレス
 

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北海道職能大で研究発表がありました。

共同研究先である北海道職業能力開発大学校で、卒業研究の発表会がありました。
今年度の共同研究テーマは3題。3人の学生さんが緊張の中発表をしてくれました。

はじめは、粒状のPCMを天井ダクトレス空調に適用した時の、省エネルギー効果。
空調停止時でも、吹き出し口温度を一定に保ち、ピークカットとピークシフトが可能になりました。
コンビニエンスストアなど、24時間空調の建築物への応用が期待される新規技術です。

全体

2題目はポリマーデシカント材を使った調湿建材の性能に関する研究です。
珪藻土などの無機材料よりも、吸放湿性能に優れた材料を左官材に調合。
繰り返し使用でも性能が変化しないことを、工学的に確認することができました。

デシカント

3題目はノルボルナジエン誘導体を適用した光エネルギーの貯蔵システムに関する研究です。
化学の領域ではすでに確認されている現象ですが、建築分野への応用研究は世界初となる研究。
光子エネルギーを暖房の循環液に直接貯蔵できる画期的なシステムで、繰り返し利用も可能。

太陽光利用の新たな技術で、冷めないお湯、使っても減らない灯油の開発、と言えるかもしれません。

NBD

今回の研究を実施したのは、専門課程2年生のみなさん。
未来の開発技術者を目指して、これからも研究開発に従事していただきたいと思います。

展示
 

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エコナウォール実験棟(仙台)を暖房モードに変更しました。

仙台市に建設した「エコナウォール実証実験棟」を、自然室温モードから暖房モードへと切り替えました。
これまでは、潜熱蓄熱建材「エコナウォール」に期待される日中の過昇温や、朝の冷え込み防止効果を中心に自然室温測定を実施。
暖房モードへの切り替え以降は、暖房に必要なエネルギー量の削減効果について実証実験を行います。

外観

今回使用する暖房機は、家庭用電源で使用できる100V-300Wの小型ファン付き暖房装置です。
電熱式で熱容量が小さく、しかも小型ファン内蔵ですから、室内に少量の熱を素早く供給することができます。
超高断熱仕様の実験棟を暖房するには、暖房能力であると考えられます。

暖房機

暖房装置をコントロールするのが、一般的には熱帯魚の水槽温度管理をする定温度制御装置。
配線も簡単で、精度よく温度管理できることが、事前検討で確認されています。

サーモ

室温センサーは、部屋の中央部にある測定用ポールに固定。
1200mmの高さの空気温を測定して、設定室温以下になると暖房装置が稼働するシステムです。

センサー

また、暖房機の稼働状況と消費電力量の測定には、一般家庭でも普及してきた消費電力計を採用。
1ヶ月間のコンセント電力消費量を5分毎に記録することができる優れものです。
毎日「エコナウォール」を施工した部屋の省エネルギー効果がが実証されていますが、
春までには外気温や日射量と、省エネルギー量の関係が定量的に把握できると期待されています。

ロガー
 

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K-house(千歳市)に蓄熱建材を施工しました。

JUGEMテーマ:住宅

 

 

2015年12月。年の瀬も迫った快晴の日。千歳市にあるK-houseに新規開発のエコナウォールを施工しました。
千歳市は冬季間の快晴率が高く、放射冷却で冷え込む日が続く地域です。
一方で、日射熱取得量も多いことから、冬季間のパッシブ蓄熱を評価する地域としては格好の都市です。

K外観

K-houseはパッシブ住宅に積極的に取り組む建設会社の社長さんの住宅で、ZEH(ゼロエネルギーハウス)に認定。
今回の左官工事は、エコナウォールの開発当初から協働で取り組んでいただいている村井左官工業さんが担当。
シーラやパテ、左官テープによる下地処理も入念にしてから、新エコナウォールの左官施工をしていただきました。

練り混ぜ

リビング上部は採光とパッシブ換気を担う吹き抜け空間の大壁面。
左官職人さんチーム4名で、大壁面を一気に塗りあげていきます。

左官1

今回採用した新エコナウォールには、調湿効果も期待できる珪藻土を調合。
コテを使った美しいテクスチャーも、職人さんの腕の見せ所になります。

テクスチャー

2016年1月からは、実暖房量と温湿度など室内環境も経時的に通年で測定。
潜熱蓄熱材のパッシブ効果を定量的に把握して行く予定にしています。

 

完成

 

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e-プラスターのカラー化に成功しました。

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石膏を主体にした従来の「e-プラスター」では、色ムラなどの問題からカラー化が困難でした。
昨年からこの課題を解決するために、仙台市に本社のある北洲さん、富士川建材工業さんの協力を頂きながら新規のe-プラスター開発を進めてきました。

最終的な実証試験は、北洲様本社敷地内に建設した実証実験棟で行いました。

外観

カラー化e-プラスターに調合したのは、富士川建材工業さんの液体顔料。
1袋のe-プラスターに対して1瓶の顔料を調合しますから、ねり材料ごとの色ムラはありません。

カラー

新e-プラスターには水と顔料を調合して、従来通りの湿式左官工法で施工していきます。

ミキサー

新型e-プラスターには新たに珪藻土も調合して、新たに調湿性能も付与。
安定した室温変動と調湿性材料の融合で、室内の湿度を快適湿度範囲に自動的に調整します。
室内の結露、カビなど冬場の健康問題も解決できることが期待されます。

左官

また、強い付着力となめらかな施工性で、表面の仕上がりも改良されています。

左官2

平滑仕上げだけでなく、様々なテクスチャーにも対応した新型e-プラスター。
ローラー仕上げの実験でも、その性能を十分に発揮できることが確認できました。

 

テクスチャー

 

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ビジネスEXPOで、調湿建材を発表しました。

JUGEMテーマ:住宅

北海道職業能力開発大学校の三浦研究室のみなさんと、アクセス札幌で開催されたビジネスExpoに出展。
現在開発中のポリマーデシカント材を応用した「調湿左官建材」のプロトタイプを発表しました。
大学校のブース内に、調湿建材を左官施工した実験モジュールを設置。
内部にお湯を入れた容器を設置して、湿度変動が見ていただけるようにしました。

展示状況

新たに開発した、ポリマー・デシカント材を調合した「調湿内装左官仕上げ材」。
一般的な珪藻土よりも吸放湿性能に優れ、調湿建材認定基準の約3倍の吸湿性能を発揮します。

デシカント

比較対象として、一般的な住宅内装材であるビニールクロスを貼り付けたモジュールも用意。
モニュール内で水蒸気を発生させて、モジュール内部の湿度変動を記録しました。

ビニールクロス

下のグラフが、測定の結果を示しています。
吸放湿性能のないビニールクロスでは、室内の相対湿度が80%まで急上昇。
前面に設置した塩ビ板が、すぐに結露水で曇ってしまいます。

一方、デシカント建材を塗ったモジュール内部は、快適湿度の50%を維持。
安定した、快適湿度環境を実現することができています。

家庭には、炊事、入浴、洗濯乾燥、人間などから1日あたり20リットルもの水蒸気が放散されています。
デシカント建材は、室内の水蒸気を吸放湿しながら快適湿度を維持でき、ガラス面の結露やカビの発生から住宅を守ります。

 

データ

 

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北海道の次世代パッシブハウスをドイツで考える その3

JUGEMテーマ:住宅

今回のドイツ訪問でお世話になったのは、世界一の化学メーカー BASF社さん。
創業150周年を迎えた、ドイツを代表するグローバル企業です。



今回の3番目のセッションは、次世代型の断熱材開発に関する情報交換です。
これまで誰も整形に成功していないと言われる無機材料シリカエアロジェルを
近い将来、無機断熱材の製品として市場に投入予定とのことです。



無機断熱材SLENTEXの厚さは現在検討中とのことですが、窓周りなどの断熱強化部材として
10mmから製造可能とのこと。熱伝導率は、19mW/m2/K以下と、とても高性能です。
北海道の在来工法の軸間断熱には、100mm品が必要かもしれませんね。



会議の後に、工場入口にあるビジターセンターとプラントの見学をさせていただきました。
有機モノマーやポリマーはもちろんのこと、顔料、香料、食品など、豊富な製品群を楽しく紹介。
本社工場の敷地は、3km × 7kmもあり、バスで一周しても1時間以上はかかります。
BASF社だけで、コンビナートが形成されていると言っても過言ではないかもしれません。



訪問の締めくくりは、16万本以上のワインを収蔵している自社ワインセラー。
創業当時の記憶を今に伝えるため、ワインセラーにも力を入れているとのこと。
世界中にいる全社員に、毎年ワインがプレゼントされるのだそうです。

 

 

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北海道の次世代パッシブハウスをドイツで考える その2

JUGEMテーマ:住宅

パッシブハウスの設計について議論した後、欧州におけるPCM建材の現状についてヒアリングしました。
世界一の化学メーカーBASF社でマイクロカプセルPCM MICRONAL(R)を担当しているのは写真(左から)のお二人。
Mr. K.Culeさんと、Mr. M.Schmidtさんです。お二人とも、とっても真面目な研究者です。

PCM_meeting

MICRONALの技術情報を説明していただいた後に、いくつかの製品アプリケーションを紹介していただきました。
まずはじめにセメント板にPCMを30%調合した仕上げ材です。ブルーの塗装がとても綺麗ですね。
現在試作段階とのことでしたが、近い将来に欧州市場に投入されるようです。

セメント板

続いては、石膏にPCMを調合した下地材。仕上げの付着を考えて多孔材になっていますね。
そのまま仕上げ材として使用すれば、吸音壁にも使えそうな形状をしていますが。

石膏板1

続いては32mmの厚板PCM材。施工性を考えて端部は相欠きにしてあります。
母材の原料は石膏ですが、軽量な骨材を多用しているため比重は低いようです。

石膏板2

次は断熱材とPCM混合ボードを積層した仕上げ材料。断熱と蓄熱の施工が一度で完了。
フィニッシュがアルミ材なので、様々な塗装が可能になりそうです。

断熱複合板

これは初めて見ました。ハニカム構造のアルミ材の内部にPCM配合石膏を充填してあります。
事務所ビルで活用されているようです。

アルミ複層

欧州でのMICRONAL出荷量が非常に伸びているとの情報を得てドイツに来ましたが、
アプリケーションが豊富なので、メーカーが競い合う中で市場が成長しているのではないかと思います。
今後も定期的に情報交換をしながら、北海道のPCM市場を育ていく必要性を感じました。

 

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