北海道の次世代パッシブハウスをドイツで考える その3

JUGEMテーマ:住宅

今回のドイツ訪問でお世話になったのは、世界一の化学メーカー BASF社さん。
創業150周年を迎えた、ドイツを代表するグローバル企業です。



今回の3番目のセッションは、次世代型の断熱材開発に関する情報交換です。
これまで誰も整形に成功していないと言われる無機材料シリカエアロジェルを
近い将来、無機断熱材の製品として市場に投入予定とのことです。



無機断熱材SLENTEXの厚さは現在検討中とのことですが、窓周りなどの断熱強化部材として
10mmから製造可能とのこと。熱伝導率は、19mW/m2/K以下と、とても高性能です。
北海道の在来工法の軸間断熱には、100mm品が必要かもしれませんね。



会議の後に、工場入口にあるビジターセンターとプラントの見学をさせていただきました。
有機モノマーやポリマーはもちろんのこと、顔料、香料、食品など、豊富な製品群を楽しく紹介。
本社工場の敷地は、3km × 7kmもあり、バスで一周しても1時間以上はかかります。
BASF社だけで、コンビナートが形成されていると言っても過言ではないかもしれません。



訪問の締めくくりは、16万本以上のワインを収蔵している自社ワインセラー。
創業当時の記憶を今に伝えるため、ワインセラーにも力を入れているとのこと。
世界中にいる全社員に、毎年ワインがプレゼントされるのだそうです。

 

 

☆室内気候研究所

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北海道の次世代パッシブハウスをドイツで考える その2

JUGEMテーマ:住宅

パッシブハウスの設計について議論した後、欧州におけるPCM建材の現状についてヒアリングしました。
世界一の化学メーカーBASF社でマイクロカプセルPCM MICRONAL(R)を担当しているのは写真(左から)のお二人。
Mr. K.Culeさんと、Mr. M.Schmidtさんです。お二人とも、とっても真面目な研究者です。

PCM_meeting

MICRONALの技術情報を説明していただいた後に、いくつかの製品アプリケーションを紹介していただきました。
まずはじめにセメント板にPCMを30%調合した仕上げ材です。ブルーの塗装がとても綺麗ですね。
現在試作段階とのことでしたが、近い将来に欧州市場に投入されるようです。

セメント板

続いては、石膏にPCMを調合した下地材。仕上げの付着を考えて多孔材になっていますね。
そのまま仕上げ材として使用すれば、吸音壁にも使えそうな形状をしていますが。

石膏板1

続いては32mmの厚板PCM材。施工性を考えて端部は相欠きにしてあります。
母材の原料は石膏ですが、軽量な骨材を多用しているため比重は低いようです。

石膏板2

次は断熱材とPCM混合ボードを積層した仕上げ材料。断熱と蓄熱の施工が一度で完了。
フィニッシュがアルミ材なので、様々な塗装が可能になりそうです。

断熱複合板

これは初めて見ました。ハニカム構造のアルミ材の内部にPCM配合石膏を充填してあります。
事務所ビルで活用されているようです。

アルミ複層

欧州でのMICRONAL出荷量が非常に伸びているとの情報を得てドイツに来ましたが、
アプリケーションが豊富なので、メーカーが競い合う中で市場が成長しているのではないかと思います。
今後も定期的に情報交換をしながら、北海道のPCM市場を育ていく必要性を感じました。

 

☆室内気候研究所

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北海道の次世代パッシブハウスをドイツで考える その1

JUGEMテーマ:住宅

世界一の化学品メーカーBASF社の建築コンサルとパッシブハウスに関する意見交換をしてきました。
今年の冬はかなり暖冬で、雪は少ないものの霧が出ています。外気温は10℃程度です。
この集合住宅は、BASF社が所有していた社員住宅をパッシブ住宅仕様に改修したもの。

「1リットルハウス」と名付けられています。
床面積1平方メートルあたりの年間冷暖房エネルギー消費量が、灯油換算で1リットル以下の住宅です。
自動車の省エネ性能のように、わかりやすい表示にしているようです。

1Lハウス

建築コンサルタントの Mr. T. Cunzと日本チームの情報交換。
エネルギー消費量がゼロになる住宅が、最良の住宅ではない。
地域の気候、伝統、建築様式とエネルギー計画の整合性が最も重要との結論になりました。

パッシブ打ち合わせ

ドイツのパッシブ住宅計画では、外付けの電動ブラインドが必須とのこと。
日本でも、日射調整の重要さは認識されているものの、まだ普及までには時間がかかりそうです。

外付けブラインド


「T-house」の環境測定を開始しました。

JUGEMテーマ:住宅

 新年あけましておめでとうございます。

本ブログも、本当に久しぶりの更新なりました。
2016年1月5日に、Netatmoを設置させていただき、環境測定を開始しました。
当日は吹雪で、屋根の上の雪も50cmオーバー。さすがは豪雪地帯、三笠市です。
武部邸外観
外壁GW300mm断熱、トリプルLow-Eガラス採用で超高断熱の住宅ですが、
これが施工をされた武部建設さんの標準スペックなのだそうです。
 
床下放熱器による集中暖房と、薪ストーブのハイブリッド暖房システム。
ストーブ使用時の室温上昇をPCMで抑制しながら、快適な暖房環境を実現。
こんなコンセプトで、エコナウォールを採用していただきました。
1F今の吹き抜け空間に120m2のエコナウォールSを施工。
今回は特別に融解温度が23℃に設計して、吸放熱効果を確認する予定です。
測定データは逐次このHPにアップしていきますのでご覧ください。

☆室内気候研究所

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こもだ建総さんのモデル住宅が竣工間近です。

新規開発中の漆喰をベースとした潜熱蓄熱建材『e-プラスター10L』をご採用頂いた、
iWall研究会正会員の「こもだ建総さん(さいたま市)」のモデル住宅が、竣工間近
との連絡をいただきました。



こもだ建総さんでは、漆喰の塗り壁を標準で施工。
美しい左官仕上げの風合いはもとより、調湿性、防カビ性、空気清浄性など
お客様の健康と快適性を重視した「いえづくり」をいつも目指しています。



このモデル住宅では国産の杉材、檜材をふんだんに使用。床は30mmの杉板材。
丸と角のダブル大黒柱は、いずれも八寸と非常に大きな断面形状になっています。

今回の住宅では、「iWall研究会」が供給する潜熱蓄熱建材「e-プラスター」を採用。
調湿機能に加えて蓄熱性能を壁にもたせ、快適性と省エネルギー性能の向上を目指します。
 


壁の断熱に採用したのは、高性能の硬質ウレタンボード。
熱伝導率が、0.021 [W/m/K]と一般の断熱材の2/3程度と、高い断熱性能を発揮します。
菰田賢崇さんが、このモデル住宅で目指したのは超高断熱のゼロエネルギーハウス。
設計UA値は0.29 [W/m2/K]と、関東では非常に珍しい超高断熱仕様の住宅となっています。
 


左官下地には吸水性能の高い専用ラスボードを使用。継ぎ合わせ部分にも細心の注意を払い
左官材料の乾燥によるひび割れや、塗りムラなどを防止しています。
 


左官工事を担当するのは、この道50年の経験を持つベテランの職人さん。
漆喰左官工法のすべてを知り尽くした職人さんが、『e-プラスター10L』の
施工性を念入りに評価してくれました。
 
太陽熱換気装置「ソーラーウォーマー」を採用して、外気は太陽熱であらかじめ加熱してから
室内に導入しますから、換気時の寒さとは無縁です。内蔵された太陽光パネルでファン動力もゼロだそうです。

外構工事も終了間近で、今月末には現場見学会も開催されるようです。


iWall研究会 公式HP
http://iwall.jp

JIA東北支部の総会で講演してきました。

JUGEMテーマ:住宅

11月8日に、JIAの東北支部総会で「iWall構法」の講演をしてまいりました。
今回は、仙台経由で福島市へ。千歳は小雪交じりの天候でしたが、
さすがに東北地方は暖かな秋真っ盛りです。



福島県教育会館は、2011年2月以来になります。
東日本大震災の直前に講演させていただいた同じ場所で
パッシブ蓄熱の議論をできるなんて、どこか因縁めいたものを感じます。



会場は福島県教育会館の大ホール。少し古くなってきましたが、
大震災にも耐えて立派にお客様を迎えてくれます。
東日本大震災は、私たち室内気候研究所の研究スタンスにも
少なからず影響を与えた、衝撃的な出来事でした。

冬季死亡率は、東北や関東、甲信、近畿より北海道の方が大幅に低いという事実。
会場の建築家の皆様には、まさか!? 、という反応が広がっていたように思います。
ややもすれば、エネルギーの観点からしか論じられない室内環境。

やはり、住む人の健康を充実した人生には、活動的な空間が不可欠と思います。



会場の裏には素敵な川が流れ、水鳥たちが羽を休めていました。
新聞の地元版には、1面を費やして各地の放射線量が表示されていました。
今も1mSv/年では全く収まりきれない放射線被曝が続いています。

1日も早い除染と、被曝から体を休める休暇がとれますように。

 

☆室内気候研究所

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実験棟の改修が、ようやく終了しました。

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9月の末に開始した、北海道職能大の実験棟の改修がようやく終了。
冬季の環境測定がようやく開始できることになりました。



7年前に建設してから、躯体内部や断熱材の状況を確認していませんでしたが、
非常に健全な状態で実験棟が維持されていたのに驚きました。
吹雪の中で建設工事をしていた2007年の晩秋を懐かしく思い出します。



7年間お世話になった潜熱蓄熱壁と窓を撤去して実験棟も衣替えです。
しっかり付着した7年前の「e-プラスター」を撤去する工事が思いの外難航します。
今年の壁材料は、漆喰ベースに珪藻土をPCMを調合して蓄熱・調湿建材を目指します。
初めて左官工事に挑戦する学生も、あっという間に上達していきます。



今年の目玉の一つは、日射取得率η値の高いトリプルガラスの採用です。
日射計も5台体制に充実し、窓の熱収支の実測も可能になりました。



室内環境性能、省エネルギー、取得したダイレクトゲインの分析と
今年の卒研も楽しみになってきました。

 

☆室内気候研究所

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調湿建材に挑戦中です。

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今年から、室内気候研究所のテーマに調湿建材の開発が加わりました。
昨年度、予備的な研究を開始したのですが、今年は新たなデシカント材を提供いただき
従来品よりもさらに調湿効果が高い建材になりそうです。



調湿能力の測定用サンプルを調製するまでに、約半年の時間を投入。
うやく目指す性能の調湿建材がようやく完成です。
サンプルが完成したら、JISを参考にしながら調湿量の測定を行います。



恒温湿チャンバーを使って相対湿度を変化させながら、吸放湿量を測定します。
湿度のプログラムも初めてですので、学生も緊張気味です。



チャンバー試験と並行して、小規模な室内に調湿建材を施工して
実用時に近い調湿効果を定量化する実験も計画されています。
この日は、学科の1年生にも手伝ってもらいながら、実験室を作成します。
初めて金槌を握る割には、手早く綺麗に実験室の骨組みが完成です。



作品が完成したら、恒例の記念撮影。
12月には、調湿建材の施工も完了して室レベルの実験が開始されます。

 

☆室内気候研究所

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Netatmoを設置してみました。

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 久しぶりのアップになります。

クラウドベースの環境測定装置Netatmoをアマゾンで入手。
早速自室にセットしてみました。いま評判の測定器ですね。
梱包は、とってもマックライクで上質です。
梱包
早速、開封の儀。アルミのつや消しで、使い慣れたMacbook proみたいな仕上がりです。
室内機と屋外機
屋外機を玄関ポーチの壁に取り付けました。
ビス1本でとめてありますので、強度はどうなんんでしょうか?
でも、一見すると防犯装置のようで、泥棒よけになるかもしれませんね。
屋外機
室内機を自宅のWIFIに繋いで設定します。5分くらいで測定準備が完了です。
室内機
PC、タブレット、スマホでもリアルタイムでデータが確認できます。
データのダウンロードもExcelのブックで簡単に。
遠隔地の環境測定には威力を発揮しそうです。
PCで確認

☆室内気候研究所

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潜熱蓄熱材「e−プラスター」で安定した温・湿度環境が実現。 インフルエンザの増殖予防。

高断熱・高気密住宅の悩みに冬場の「過乾燥」があり、全国的に暖房時の相対湿度が30%以下になる住宅も、数多く報告されています。
これまで冬期間の低湿度は、乾燥した外気の大量な取り入れにあると言われてきましたが、室内気候研究所では「e−プラスター」を施工した住宅の環境測定を実施して、過乾燥の原因と対策を検討してきました。
 
室内の相対湿度は人間の健康と密接な関係があることは、経験的にも知られています。「乾燥」が風邪や呼吸器疾患、乾燥肌の原因になるからです。
一般的な乾燥対策は加湿器の使用ですが、器機の選定や使用法を間違えると結露やカビが発生します。各家庭で洗濯物や濡れタオルの配置、植栽の導入など、様々な生活の工夫がなされているようです。また、マスクや保湿クリームの使用なども対処として効果的ですが、原因を解消することはできません。
 
環境弱者である子供たちの冬の健康管理のためにも、低湿度対策はとても重要です。


 
 
 
 
竣工現場のページでも紹介した「I-project」の環境測定データから、冬の低湿度対策について考えてみることにします。この住宅では潜熱蓄熱内装材「e−プラスター10」を壁と天井に施工して、躯体に熱と水蒸気を蓄積する機能を持たせています。「e−プラスター」は熱と水分の「デポジットカード」。室内に取り込んだ暖房機や日射、調理、家電製品、人体からの熱と水蒸気を壁にチャージしておき、必要に応じて取り出して利用するパッシブシステムです。
 
一般的な高断熱・高気密住宅の内装地上げはビニールクロスです。汚れにくく耐久性にも優れていますが、化学製品であるビニールには熱や水分を吸収保持する能力がありません。これが過乾燥の原因の一つと考えられるのです。
 
石膏プラスターと潜熱蓄熱材PCMを主原料とする「e−プラスター」は、室内の熱を呼吸しながら室温を安定させるだけでなく、入浴や洗濯乾燥、調理などで室内に放出された水蒸気を一時的に吸収。乾燥空気が室内に流れ込んだときに放出して相対湿度の低下を抑制する機能があります。
 

 
 
 
2012年12月から2013年5月までの環境測定データをまとめてみたところ、薪ストーブを主暖房に使用しているこの住宅の室内温度は19℃から23℃で、しかも非常に安定して推移していることが分かりました。外気温が−10℃にもなる厳寒期に朝まで暖房を停止していても、「e−プラスター」からの放熱で室温が下がりません。
 
また、加湿器を使用していなくても相対湿度は40%をキープ。壁と天井に施工した「e−プラスター」の保湿効果で、安定した湿度環境が維持されています。小学生と幼児の二人のお子様も、全く風邪を引かなくなったそうです。
 
 
 


既往の研究では、人間の快適性と健康にとって最適な相対湿度の範囲は40〜60%である事が明らかになっています。また、相対湿度が40%以下になると、ウイルスやバクテリアなどが非常に増殖しやすい環境となります。
 
「e−プラスター」を施工した住宅の測定結果では、壁面の調湿作用で相対湿度が40%以上であり、加湿器にかかる電気料金もフリーで、健康的な環境が維持されます。






「e−プラスター」を施工した住宅と、一般的な高断熱・高気密住宅の室内環境データを比較してみました。いずれも札幌市に建つ住宅で、断熱性能はほぼ同じです。下のグラフは、最寒期である2月の室内環境を示しています。
 
国際規格であるISOの室内環境基準と比べてみると、ビニールクロスを施工した高断熱住宅では、昼間の室温が30℃近くまで上昇し、またその時の相対湿度は30%を切ることが分かります。人間の活動時間帯では、おおむねISO基準を満足することができていません。
 
一方、「e−プラスター」を施工した住宅では、測定期間中ほとんどの時間でISO規格の範囲内に温湿度が維持されていました。「e−プラスター」の熱と水蒸気を呼吸する機能が、安定した温湿度生成に寄与した結果と考えられます。快適範囲の環境ではインフルエンザ菌の活動が活性化する相対湿度以上の値が得られていますので、「e−プラスター」の健康維持への機能が期待される訳です。





iWall アイ・ウォール研究会
公式ホームページURL http://iwall.jp/
 



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