窓を機能させるために必要な「ガラス」の性能は? その1

 

 

 

断熱は、省エネルギーから健康へと軸足を移しつつある。

 

 

高断熱住宅は熱的な性能重視という技術的な進化の時を超えて、

 

新たな価値の創造と評価指標の創生の時代を迎えようとしています。

 

 

現在の省エネルギー基準では、外皮性能は断熱性能の平均値で規制が行われていますが、

 

開口部、とりわけガラスが使用される「窓」機能の見直しが急務になってきました。

 

 

 

(写真)窓面積を狭小化することで、見かけの断熱性能を高めた住宅

 

 

 

今回から、窓の機能を十分に発揮させるために必要なガラスに期待される性能と、

 

生活に密着した将来像について考えてみることにしましょう。

 

 

 

ガラス建築の原点は、第1回ロンドン万国博覧会のパビリオン。

 

 

建築の「ウチ」と「ソト」をつなぐ透明な外皮「ガラス」は、1854年の第1回万国博覧会で

 

ロンドンに建設された「クリスタルパレス」で具現化され、多くの人々を魅了しました。

 

 

伝統的な組積造建築における閉鎖的な室内環境へのアンチテーゼとして、その後の建築思潮に

 

大きな影響を与えることになった「水晶宮」。

 

 

 

(写真) ドイツのバイエルン王をも魅了した「オランジェリー」

 

 

 

今ではライトアーキテクチャーの浸透とともに私たちの生活の中にしっかりと根付いた感のある

 

「ガラス建築」は、性能、表現としても飛躍的な進化と発展を遂げて来ました。

 

 

 

(写真)金沢21世紀美術館の、ガラスのファッサード

 

 

 

一方、伝統的な建築手法を積極的に見直す事で、気候や風土と共生しようとする建築運動も

 

世界的に幅広く支持され、外皮が持つべき機能について今も議論が続いています。

 

 

いわゆる「リージョナリズム」と言われる建築運動ですね。

 

 

 

(写真)沖縄県立美術大学の環境ファッサード

 

 

 

現代建築では、室内と外界とをつなぐ開口部「マド」が重要な役割を!

 

 

外皮、とりわけ「マド」に要求される機能は下図のように定義することができるのですが、

 

常に変化する外界の環境要因と住要求に対して、柔軟に対応可能な開口部のデザインは、

 

快適で健康的な室内環境を創生するという観点から、重要な鍵を握る技術と言えそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

建築の構造と不可分な「開口部」のデザインと「マド」の意味。

 

 

自然に対して開放的な日本の伝統的建築では、柱と柱の間をどのように閉鎖するかという

 

課題を解決するために様々な手法が開発されてきました。いわゆる「間戸」の開発です。

 

 

外界気候の変化を享受しながら、建築外皮を柔軟に変更することで室内環境を創生

 

しようとする建築行動は、世界に類を見ないかもしれません。

 

 

 

(写真)開放的な室内環境をつくる、伝統的な日本建築の「間戸」

 

 

 

でも柱間の建具を季節とともに交換して暑さや寒さ備え、雨戸で風雨に対応するのは、手間も

 

かかりますし、何より建具を収納するためのスペースが必要になります。

 

 

 

(写真) 岡山城後楽園の能舞台

 

 

 

敷地面積が限られる現在の住宅事情を考えると、柱間の素材を変更するという伝統的な

 

季節への対応手法が支持されなかったのも、致し方ないことなのかもしれません。
 

 

 

開口部を穿つことに先端を結集してきた「組積造」建築の進化。

 

 

軸組工法では柱間を塞ぐことで変更できた「マド」のデザインですが、組積造工法では

 

構造的な問題から、随意に開口部を大きくすることは困難な問題でした。

 

 

 

(写真)ハイデルベルク城の城塞に穿たれた窓

 

 

 

内部に光と空気を導いてくれる開口部を、少しでも大きく空けたいという欲求は、

 

古来から建築技術者の目標とされてきたことは想像に難くありません。

 

 

 

(写真)神の象徴である光を取り入れる、パンテオンのドームの開口

 

 

 

「マド」のデザインに内包された、二つの系譜。

 

 

それでは軸組工法を基礎として発展してきた住宅建築の「間戸」には、将来的にどのような

 

要求が予測され、どのような機能が必要になるのでしょうか?

 

 

 

(写真)断熱改修を施した集合住宅の外観(ドイツ)

 

 

 

時間とともに変化する外界環境と住要求に柔軟に対応することが可能な、未来の「間戸」に

 

ついて、次回以降も考えていきたいと思います。

 

 

 

 

 

■室内気候研究所

公式HP : http://iwall.jp/

Twitter:  https://twitter.com/i_wall_

 

        

 

 

 


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