窓を機能させるために必要な「ガラス」の性能は? その2

 

 

 

 

厳しい冬の気候だからこそ、生命力を感じる緑の植栽を楽しみたい。

 

 

 

中世のバイエルン王も、その建設を熱望したと言われるガラス温室「オランジェリー」。

 

 

素材技術の進歩によって、誰もが一年を通して緑と共に過ごし透明天蓋空間の魅力を享受

 

できる時代が、ようやく到来しました。

 

 

 

(写真)釧路市のフィッシャマンズワーフに併設されたガラス空間「EGG」

 

 

 

もちろんこの空間の主役は植物であり、人間はそこを通過するか短時間滞在するだけの存在

 

です。植生の生育条件によっては温度変化の幅に制限はあるものの、光合成に必要な日射量は

 

外界の変化をそのまま受け入れるだけでよく、積極的に調整される必要はありません。

 

 

つまり植物の健全な成長には好適な環境の生成が、ガラス温室の設計条件となります。

 

 

 

(写真)通年で植栽の魅力を感じることのできる、ガラス歩行空間

 

 

 

現代では食物の生産工場にもこの技術が生かされるようになり、知らず知らずのうちに

 

私たちの生活の中に定着するようになってきました。

 

 

いわゆる、ガラスを用いた植物のための環境技術の創生です。

 

 

 

人間の健康にとって必要な環境は、ガラス建築で創生可能なのか?

 

 

 

軸組構造の「間戸」に板ガラスを採用しようとする試みは、その発生の歴史から考えても

 

ごく自然なことでした。しかし四季の気候較差が大きな日本の気候では、透明な窓から

 

得られる開放感だけでは相殺できないほどの環境劣化が、開口部のガラスによって引き

 

起こされてしまうことも、容易に想像ができます。

 

 

 

(写真)カーテンを閉めておくことを前提にした、開口部のデザインが乱立。

 

 

 

 

ガラス被覆空間に必要なのは、断熱性能だけなのか?

 

 

開口部を断熱性能の脆弱なガラスで被覆することによって生じる寒さの室内への侵入や、

 

隙間風や結露を防止するため、建具を含めたガラスの熱性能向上に資する技術の開発が

 

多方面で図られてきたことは言及する必要もないでしょう。

 

 

 

(写真)フランクフルトの住宅展示場で常設されている、ガラス建築の例

 

 

 

 

日射調整を、ガラスの性能だけで解決するのは無理がある。

 

 

一方で、ガラス面に入射する日射量は季節変動が大きく、また室内側での日射需要量は

 

季節依存性が高いことから、断熱性能の高度化が一定の水準に到達すると日射透過量の

 

調整が新たな課題として顕在化することになりました。

 

 

深い軒の庇や外付けブラインドなどの日射調整機能を持たないガラス被覆建築では、いきおい

 

日射遮蔽性能の高いガラスを採用することになりますが、日向にいても温かく感じることの

 

できない室内環境の違和感は、静的なガラスの性能だけでは払拭することができません。

 

 

 

(写真)窓は、「ウチ」と「ソト」をつなぐ情報の結節点として機能している。

 

 

 

 

日射調整のために眺望を犠牲にするのは、窓の機能の半分を諦めることに等しい。

 

 

窓ガラスの面積が大きくても、日射調整やプライバシー確保のためにカーテンやブラインドを

 

常に閉じておく必要があるとするなら、結果として閉鎖感の強い室内環境を恒常的に創生する

 

ことになってしまいます。

 

 

 

(写真)視界を意識した現代住宅の「窓」(設計・施工:SUDOホーム)

 

 

 

プライバシーを確保しながらも窓ガラスから入射する太陽光の量を調節するための工夫が、

 

現在の建築デザインでは大変重要になっています。

 

 

京都に代表される町屋建築に見られるような坪庭のように、「ウチ」に向かって開放する

 

という伝統的な都市建築の発想を、もう一度見直してみる必要もありそうです。

 

 

 

(写真)プライバシーの確保に配慮したウチとソトをつなぐ窓

 

 

 

断熱、日射取得量の任意な調整、そしてプライバシーの確保をどう実現するのか?

 

 

 

外界と完全に隔絶される可能性のある組積造建築では、外皮に穿たれる開口部が光と空気を

 

取り入れるための大変貴重な経路であり、その拡張を希求しながら建築技術は進歩してきました。

 

 

い方で、大開口が比較的得やすい軸組工法でガラスを用いるとき、断熱性能に加えて日射や

 

プライバシー確保など、経時的に変化する住要求に対応するデザインが不可欠になります。

 

 

窓ガラスには、断熱性以外にも重要な課題がまだ残されているようです。

 

 

 

 

 

 

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窓を機能させるために必要な「ガラス」の性能は? その1

 

 

 

断熱は、省エネルギーから健康へと軸足を移しつつある。

 

 

高断熱住宅は熱的な性能重視という技術的な進化の時を超えて、

 

新たな価値の創造と評価指標の創生の時代を迎えようとしています。

 

 

現在の省エネルギー基準では、外皮性能は断熱性能の平均値で規制が行われていますが、

 

開口部、とりわけガラスが使用される「窓」機能の見直しが急務になってきました。

 

 

 

(写真)窓面積を狭小化することで、見かけの断熱性能を高めた住宅

 

 

 

今回から、窓の機能を十分に発揮させるために必要なガラスに期待される性能と、

 

生活に密着した将来像について考えてみることにしましょう。

 

 

 

ガラス建築の原点は、第1回ロンドン万国博覧会のパビリオン。

 

 

建築の「ウチ」と「ソト」をつなぐ透明な外皮「ガラス」は、1854年の第1回万国博覧会で

 

ロンドンに建設された「クリスタルパレス」で具現化され、多くの人々を魅了しました。

 

 

伝統的な組積造建築における閉鎖的な室内環境へのアンチテーゼとして、その後の建築思潮に

 

大きな影響を与えることになった「水晶宮」。

 

 

 

(写真) ドイツのバイエルン王をも魅了した「オランジェリー」

 

 

 

今ではライトアーキテクチャーの浸透とともに私たちの生活の中にしっかりと根付いた感のある

 

「ガラス建築」は、性能、表現としても飛躍的な進化と発展を遂げて来ました。

 

 

 

(写真)金沢21世紀美術館の、ガラスのファッサード

 

 

 

一方、伝統的な建築手法を積極的に見直す事で、気候や風土と共生しようとする建築運動も

 

世界的に幅広く支持され、外皮が持つべき機能について今も議論が続いています。

 

 

いわゆる「リージョナリズム」と言われる建築運動ですね。

 

 

 

(写真)沖縄県立美術大学の環境ファッサード

 

 

 

現代建築では、室内と外界とをつなぐ開口部「マド」が重要な役割を!

 

 

外皮、とりわけ「マド」に要求される機能は下図のように定義することができるのですが、

 

常に変化する外界の環境要因と住要求に対して、柔軟に対応可能な開口部のデザインは、

 

快適で健康的な室内環境を創生するという観点から、重要な鍵を握る技術と言えそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

建築の構造と不可分な「開口部」のデザインと「マド」の意味。

 

 

自然に対して開放的な日本の伝統的建築では、柱と柱の間をどのように閉鎖するかという

 

課題を解決するために様々な手法が開発されてきました。いわゆる「間戸」の開発です。

 

 

外界気候の変化を享受しながら、建築外皮を柔軟に変更することで室内環境を創生

 

しようとする建築行動は、世界に類を見ないかもしれません。

 

 

 

(写真)開放的な室内環境をつくる、伝統的な日本建築の「間戸」

 

 

 

でも柱間の建具を季節とともに交換して暑さや寒さ備え、雨戸で風雨に対応するのは、手間も

 

かかりますし、何より建具を収納するためのスペースが必要になります。

 

 

 

(写真) 岡山城後楽園の能舞台

 

 

 

敷地面積が限られる現在の住宅事情を考えると、柱間の素材を変更するという伝統的な

 

季節への対応手法が支持されなかったのも、致し方ないことなのかもしれません。
 

 

 

開口部を穿つことに先端を結集してきた「組積造」建築の進化。

 

 

軸組工法では柱間を塞ぐことで変更できた「マド」のデザインですが、組積造工法では

 

構造的な問題から、随意に開口部を大きくすることは困難な問題でした。

 

 

 

(写真)ハイデルベルク城の城塞に穿たれた窓

 

 

 

内部に光と空気を導いてくれる開口部を、少しでも大きく空けたいという欲求は、

 

古来から建築技術者の目標とされてきたことは想像に難くありません。

 

 

 

(写真)神の象徴である光を取り入れる、パンテオンのドームの開口

 

 

 

「マド」のデザインに内包された、二つの系譜。

 

 

それでは軸組工法を基礎として発展してきた住宅建築の「間戸」には、将来的にどのような

 

要求が予測され、どのような機能が必要になるのでしょうか?

 

 

 

(写真)断熱改修を施した集合住宅の外観(ドイツ)

 

 

 

時間とともに変化する外界環境と住要求に柔軟に対応することが可能な、未来の「間戸」に

 

ついて、次回以降も考えていきたいと思います。

 

 

 

 

 

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建築デザインと街並み、そして住宅の熱性能の課題。

 

 

高断熱・高気密住宅がとても普及している北海道ですが、街区や景観、建築デザインに

 

関わる問題点が指摘されているようです。外皮の面積を抑えるために箱型の住宅が並ぶ

 

札幌市の新興住宅街の様子からも、その問題の深刻さが見て取れます。

 

 

 

 

 

 

以前紹介した千葉県にある建売住宅の街区の様子ですが、屋根勾配、使用する外装の種類、

 

隣棟間隔などを統一することでここの調和のある住宅のデザインが街区形成に貢献しています。

 

もちろんこちら街区も、高断熱・高気密性能は北海道並みで、価格は普及帯です。

 

 

 

 

 

さらに高性能化を進めるために、極端に窓面積の小さな住宅が増え続けている北海道。

 

 

 

 

プライバシーを守りながら日射遮蔽や眺望を実現するデザインの工夫はないのでしょうか?

 

 

 

 

もちろん敷地や建築費用の問題があるので容易に解決できないのですが、近隣との

 

関係性を適度に保ちながら、個の空間を創出する方法はいくらでもありそうなのです。

 

 

 

 

 

十分な敷地や自然環境が得られるなら、問題の解決はより容易かもしれません。

 

 

 

 

 

狭小化する都市型の敷地で、プライバシーを守りつつ近隣との関係性に配慮した住宅を

 

街区形成に配慮しながらデザインする手法が求められています。

 

 

もちろんそのベースになるのは居住者の健康と快適性であることは言うまでもありません。

 

 

 

 

 

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LOHASな生活を支える、高性能住宅の新たな挑戦!

 

 

 

年間を通して快適な室内環境をつくり、LOHASな生活を送っていただくためには、3つの

 

技術が必要であることをお話ししてきました。

 

今回は先駆的に、これらの技術が導入された北海道の高性能住宅をご紹介しましょう。

 

 

 

【技術1】 まず「断熱」をしっかりと計画し、施工することです。

 

 

 

 

 

 

「暑さ」「寒さ」を感じることなく生活するために必要な断熱材の厚さを敷地の立地条件と

 

気候から算出してみましょう。もちろん省エネルギー基準に合致していることが最低条件です。

 

 

 

 

 

 

 

 

断熱材の厚さを決定したら、次は断熱欠損なく施工できるのか、構法の検討に入ります。

 

しっかりと施工できる断熱構法でなければ、設計上の性能を満たすことはできません。

 

 

 

 

 

 

施工が終了したら赤外線カメラを使って、熱橋がないか可視化してみると良いでしょう。

 

 

 

(画像)軸間断熱と外断熱を組合わせた高性能住宅の例(設計・施工:北央建設)

 

 

 

断熱材の施工が緻密に実施されていると、外壁面の温度はほぼ均一になり熱画像の色相

 

を見てもほとんど差はありませんね。しっかりとした計画と施工ができている証左です。

 

 

 

 

【技術 2】 夏場の暑さに備えて「遮熱」計画をしましょう。

 

冬場には嬉しい日射熱ですが、夏はそのまま室内に取り入れると暑くなりすぎます。

 

窓の外側で、しっかりと日射熱を遮断するための方策を考えましょう。

 

 

 

 

 

遮熱効果の高いネットやシートが発売され入手しやくなりましたので、建築の意匠を

 

勘案して最も適した遮熱装置を、建築時にあらかじめ施工しておくことにしましょう。

 

 

 

【技術3】 「断熱」と「遮熱」をしたら、あとは「蓄熱」をしっかりと。

 

日本の伝統的家屋をみると、茅葺き屋根のしっかりとした断熱性能と軒庇の遮熱性能が

 

備わった住宅が全国的に存在していることがわかります。また土壁や土間床が担っていた

 

「蓄熱」の性能を組み話せれば、現在の住宅でもパッシブ性能の高い住宅が完成します。

 

 

 

 

 

 

現在は大壁構法が多数派ですが、土壁に代わる潜熱蓄熱性能を持った建材も開発されています。

 

木造建築にRC建築が持つ熱容量を加えてあげれば、快適な温熱環境の出来上がりです。

 

 

 

 

 

 

 

 

夏は涼しく、冬暖かな住宅は「断熱」「遮熱」それに「蓄熱」で完成します。

 

 

 

 

 

 

もちろん自然室温が快適範囲を逸脱する季節は、少しだけ空調設備の力を借りましょう。

 

こうすることで設備容量はとても小さくて済みますし、消費エネルギーも抑制できます。

 

 

 

 

 

 

パッシブ住宅づくりの基本的な技術を守り、しっかりと施工することで「LOHAS」な生活が

 

約束されるのです。

 

 

 

 

 

 

パッシブな住宅は、そこに住む人をアクティブにしてくれるものです。

 

あなたの大切な家族の健康を守ってくれるパッシブな住宅づくりにチャレンジしませんか?

 

 

 

 

 

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高断熱・高気密住宅を、見直す時期でしょう。その2

 

 

 

 

 

今や常識になった高断熱・高気密化構法ですが、いまだに基準適合の義務化すら実施されず

 

品質の確保は設計・施工を担当する事業者に委ねられているという現状に課題はないのか?

 

 

断熱水準では、国際的な規格から大きく引き離されているというのが残念です。

 

 

 

(写真)有機系断熱材による屋根断熱の提案 (独:BASF社)

 

 

 

また、年々登場する断熱材の新製品ですが、どの構法にどの商品が適しているのかといった

 

議論を耳にすることも少ないような気がします。

 

 

 

(写真)無機系断熱材「SLENTEX」による壁の外断熱 (独:BASF社)

 

 

 

日本の気候風土や法的規制を考慮しながら、その家に最もふさわしい住宅の断熱構法の選択は

 

住宅の温熱環境の改善にとって、その基礎をなすものであることは言うまでもありません。

 

 

 

(写真)パッシブ・ハウス研究所による、断熱性能のデモンストレーション

 

 

 

一方で、断熱性能の向上が目指す目標は「省エネルギー」と言う指標で語られることが多い

 

のですが、「健康・快適性」「知的生産性向上」といった新たなニーズに応えるためには、

 

どの程度の断熱性能が必要なのか、議論すべき時が来ているように思います。

 

 

 

 

 

 

 

断熱性能基準は時とともに変遷を繰り返してきましたので、そこには基準に取り残された

 

住宅ストックが、大量に存在していることも忘れてはいけないでしょう。

 

 

 

(写真)内張り構法による断熱改修の研究

 

 

 

住宅の断熱性能が劣っていることに起因した疾病の発生と、多くの環境犠牲者の存在が

 

その背後にあることを、建築技術者は責任感を持って対応していくべきでしょう。

 

 

 

(写真)真空断熱材とフローティングフロアの組合せ構法

 

 

 

1980年代のオイルショック期から継続的に発展してきた高断熱・高気密化技術は、明確な

 

目標設定に立った基準を再定義する時期に来ています。

 

 

居住者不在の議論ではなく、使う人の立場に立った検証が不可欠です。

 

 

 

 

 

 

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高断熱・高気密住宅を、見直す時期でしょう。その1

 

 

 

 

昭和55年に施行された省エネルギー基準は、現在の基準と比較すれば十分とは言えないまでも

 

日本の住宅の断熱性能を公的に規定する契機となったことは、高く評価されるべきでしょう。

 

 

 

(写真) 札幌市の住宅街に見られる、キューブ型住宅

 

 

 

 

断熱性能が冬の居住環境に大きく影響を与える積雪寒冷地、とりわけ北海道では1980年代から

 

産学官での精力的な取り組みによって、ヒートショックによる死亡事故が年々減少しており、

 

断熱の強化が「健康維持」「疾病予防」に有効であることが明らかになってきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし省エネ基準は平成4年基準を経て、現在は平成11年基準が適用されているのですが、

 

その変遷を見ても日本の住環境はまだまだ発展途上であると言えるのかもしれません。

 

 

 

 

(写真)高性能住宅の熱画像

 

 

 

 

全国で日々建設されている、いわゆる「高性能住宅」の中にも、設計や施工方法に不備を抱えた

 

住宅があることが、専門家の間では広く認識されているところです。

 

 

 

 

(写真)進化をし続けている断熱構法の開発

 

 

 

 

今や常識になった高断熱・高気密化構法ですが、いまだに基準適合の義務化すら実施されず

 

品質の確保は設計・施工を担当する事業者に委ねられているというのが現実です。

 

 

真に必要な断熱の仕様を、もう一度見直す時期に来ているように思います。

 

 

 

 

 

 

 

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「断熱」「蓄熱」と「遮熱」の組み合わせで、夏を涼しく!

 

 

 

厳しい夏の暑さは、どうやって、やり過ごせば良いのでしょうか?

 

機械に頼りすぎず暑熱環境に適応した建築デザインは、伝統的な工夫の中にも垣間見えます。

 

 

 

(写真)日射遮蔽と通風を考慮した、沖縄県立芸術大学のファッサード

 

 

 

夏の暑さを防ぐためには、やはり「断熱」性能を高めていくことが基本でしょう。

 

 

高断熱・高気密化によって建築の躯体を貫流するエネルギー量を激減できるのですから、

 

あとは開口部の機能を季節に合わせて調整すれば、一年中快適な住宅ができるはずです。

 

 

夏涼しい家は、冬に暖かい家づくりと、考え方は一緒なのです。

 

 

 

(写真)ブラインドボックスをうまく処理した外付けブラインド(設計・施工:北洲ハウジング)

 

 

 

冬には日射熱を暖房に、夏には夜間の冷涼な外気を冷房に利用するための工夫もあります。

 

 

潜熱蓄熱塗り壁材は快適な室温の範囲内で熱を呼吸してくれる性能を持っていますから、

 

室温の変化を自然の力で安定させてくれる効果が期待できます。

 

 

 

(写真)室温調節機能のある蓄熱塗り壁材「エコナウォール」の施工風景

 

 

 

「断熱」をしっかりと補強すれば、日射の「遮熱」や内部取得熱の「蓄熱」が効果を発揮します。

 

これらを有機的に組み合わせて利用することが、LOHASな住宅づくりの肝なのです。

 

 

 

(写真)断熱・蓄熱・遮熱をデザインした北洲「プレミアム・パッシブハウス」

                         (設計・施工:北洲ハウジング)

 

 

 

 

体温調節の機構をもう一度振り返ってみましょう。

 

 

人間は体内で産生された熱エネルギーを外界に放散することで、体温を調節しています。

 

「寒さ」を感じると震えによってエネルギー量を増やし、「暑さ」を感じる時には、

 

発汗量を増やして熱の放散量を増加させます。

 

 

 

 

 

 

 

快適さの範囲には個人差があると言われていますが、冬の最低室温は20℃、夏の最高室温は

 

じっとしていても発汗が始まる28℃と考えることができます。

 

 

人間が快適に活動できる温度の範囲は、案外狭い範囲にあるようです。

 

 

 

(写真)植栽の日射調整を利用したパッシブハウス(設計・施工:武部建設)

 

 

 

 

「断熱」「蓄熱」「遮熱」の三つの機能を組み合わせて室内環境を調整している、

 

北海道に建設されたパッシブハウスの環境測定結果を見てみましょう。

 

 

 

 

ここでは日中の外気温度が30℃を超えるような、暑い一週間のデータを示しました。

 

初夏の北海道ですので日最高気温は高いものの、夜間はとても気温が低下して、

 

とても涼しい朝を迎えていました。

 

 

 

深い軒庇と、落葉樹の「遮熱」効果、蓄熱塗り壁材の「蓄熱」効果で、外気温度が35℃を

 

超えるような暑い日でも、室温は快適な範囲でゆったりと変動していることがわかりました。

 

 

 

(写真)冷涼な外気導入による室内予冷を実施した例(設計・施工:武部建設)

 

 

 

暑さ、寒さへの対策は、真に健康的な環境を創生するために不可欠な技術です。

 

 

古くから古民家でも使われてきた「断熱」「蓄熱」「遮熱」の工夫を、現代建築の中に

 

活かすことで、健康で快適な生活を送ることが可能なのです。

 

 

 

 

 

 

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「熱中症」の危険から身を守るのは、まず「断熱」!

 

 

 

 

消防庁の発表によれば、2019年6月3日から9日までの期間で熱中症の疑いで救急搬送

 

された人の数は、全国で1,227人だったそうです。猛暑日が続いた連休明けを含め、

 

これまでの累計数は近年にないペースで増加しており、本格的な夏の到来でさらに

 

熱中症のリスクは高まっていくものと考えられます。

 

 

 

(写真) 首里城にある、夏を旨とした伝統的な和風座敷

 

 

 

「住宅内熱中症」の発症数は、年々増え続けている。

 

 

「熱中症」とは人体が高温の環境にさらされることで発汗が連続的におき、体内の水分量が

 

減少することで熱失神や熱痙攣のなどが症状化する健康障害を指します。

 

重症化すれば致死リスクを伴う恐ろしい症状ですね。

 

 

 

 

 

 

 

上の図は熱中症死の分析結果ですが、死者の総数1,100人に対し65歳以上のご長寿さんの

 

割合は約40%と高く、しかも住宅内で「熱中症」を発症して亡くなるご長寿さんの割合は

 

80%にも達しています。「住宅内での熱中症(住宅内熱中症)」はますます増加傾向にあり、

 

住宅の熱環境調整は喫緊の課題と言えるでしょう。

 

 

 

 

(写真)日射遮蔽をした実験モジュールの熱画像

 

 

 

蒸し暑い寝室の環境が「就寝時熱中症」のリスクを高める。

 

 

近年、寝室における「睡眠時熱中症」のリクスが取りざたされるようになってきました。

 

住宅における熱中症の全死亡者に占める「就寝時熱中症」の死亡割合が40%程度にまで

 

高まっていて、夜間の環境管理の大切さが叫ばれるようになってきました。

 

 

 

(写真)暑さ・寒さを感じない、高断熱住宅の室内の様子(設計・施工:北央建設)

 

 

 

それでは夜間になっても室温が下がらない住宅は、どうして存在しているのでしょうか?

 

下の図は日本全国にある住宅ストックを、断熱性能ごとに分類して比較した図です。

 

 

驚くべきことに約80%の住宅が無断熱か、40年前の脆弱な断熱性能基準レベルにしか過ぎず

 

日射によって暖められた屋根からの熱侵入を防ぐことができていないのが現実です。

 

 

 

 

 

 

 

「就寝時熱中症」の発症メカニズムは比較的容易に理解することができます。

 

 

蒸し暑い寝室で就寝すると、体温の上昇を抑制するために自律的に発汗が助長され、

 

体内水分量が徐々に低下します。そのままの環境で就寝し続ければ水分量はさらに低下し、

 

やがて熱中症の症状が生じるのです。

 

 

就寝時熱中症の発症時間帯が明け方に多いのもこのためです。

 

 

 

(写真)古民家風のデザインを採用した娯楽施設の室内

 

 

 

人体は適切な体温を維持するために、体内深部からは外部環境に向かって常に熱が環境へと

 

放散されています。室温の上昇とともに湿性放熱の割合は相対的に増大していき、室温が

 

28℃になると多くの人は発汗し始めます。

 

 

汗は血液成分から生成されますので、発汗の進行とともに体内の水分量は減少していく

 

ことになるのです。

 

 

 

 

 

 

就寝が28℃になると、発汗が生じて「睡眠の質」を低下させる。

 

 

就寝時に発汗が続くと「就寝時熱中症」のリスクが高まるだけでなく、いわゆる「睡眠の質」

 

が低下する原因にもなります。

 

 

「ぐっすりと寝て、スッキリと起きる」ことで新陳代謝は促進し、昼間に酷使した免疫

 

システムが修復されて病気にかかりにくいカラダが再生されるのです。

 

 

 

(写真)断熱・蓄熱・遮熱でデザインしたPPHの寝室(設計・施工:北洲ハウジング)

 

 

 

 

「睡眠の質」の低下は、翌日の知的生産性の低下、食欲の減退、免疫力の低下、うつ病の

 

発症などの原因ともなりかねませんので、寝室の環境調整は欠かすことができないのです。

 

 

 

 

 

 

 

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天然素材と綺麗な空気に包まれて、熟睡しませんか?

 

 

北海道の大自然の中でひっそりと息づく「パッシブハウス」の暮らし。

 

 

敷地が持つ魅力を余すことなく享受できる家を創ることは、LOHASな夢かもしれません。

 

周囲の空気が清浄で高品位であれば、そのまま深く呼吸するだけで良いのですが・・・。

 

 

 

(写真)大自然の魅力が溢れるLOHASな住まい(設計・施工:武部建設)

 

 

 

しかし実際の住宅建築の現場では都市の狭小化した密集敷地や限られた資源の中で、

 

理想とする暮らしをどう実現していくのか?こんな課題にいつも直面してしまいます。

 

特に周囲の空気環境は立地と切り離すことができないので、深刻かもしれません。

 

 

 

 

 

人間が1日に呼吸する空気の量は食物の20倍、水の10倍にも上りますから、もちろん

 

その質に無頓着でいることはできませんね。

 

 

さらに人間の健康を左右する睡眠の質は、実は室内の空気質と密接な関係があるのです。

 

 

ぐっすりと眠り、すっきりと起床できること。健康を支える睡眠の源は、室内の空気質に

 

左右されることが、科学的にも分かってきたのです。

 

 

 

(写真)天然素材に囲まれた寝室 「プレミアム・パッシブハウス」(設計・施工:北洲)

 

 

 

室内の空気は使用している什器や衣服、人間の活動などによって常に汚染されています。

 

 

生活臭やペット臭など、空気の中にある汚染物質を天然素材の力で優しく吸着・分解して

 

くれる「空気清浄機能」のある建築材料がとても注目されている理由です。

 

 

 

 

 

 

 

 

パッシブな空気清浄機構を持つ建材は、機械式の空気清浄機とは異なりメンテナンスが

 

とても容易で、しかも電気エネルギーを消費しないLOHASな建材だと言えるでしょう。

 

 

 

(写真)蓄熱塗り壁材「エコナウォール」が、空気をきれいにしてくれる

 

 

 

人間の活動で生じる汚染物質が少なく、清浄な空気に包まれながら生活できることは、

 

健康で幸福な生活を送るための必須条件だと言えるかもしれません。

 

 

 

(写真)周囲の緑とつながる家 「季美の森」(設計・施工:SUDOホーム)

 

 

 

家族が安心して暮らし、成長していける環境を支える室内の空気質。

 

普段あまり意識していなくても、あなたと大切な家族をそっと守っていてくれるはずです。

 

 

 

(写真)天然素材の魅力を生かした、高性能住宅 (設計:フーム空間計画工房)

 

 

 

さらに最近ではAI技術の発達によって、私たちの働き方も急速に変化を遂げています。

 

天然素材の魅力を生かしながら高い空気質を維持することは、知的生産性の向上にとっても

 

とても重要であることが、ようやくエビデンスを持って認識されるようになってきました。

 

 

 

(写真)天然素材を生かした空間で、知的生産性も向上(設計・施工:SUDOホーム)

 

 

 

天然素材の持っている自然の力を利用しながら健康に暮らし、生産していくこと。

 

これからの住宅環境では、とても重要なファクターになりそうです。

 

 

 

(写真)家族が健康で幸せに暮らすためのウツワ(設計・施工:北央建設)

 

 

 

家づくりの基本は「レジリエンスの充足」が不可欠ですが、普段は気にも止ない

 

「空気質」が健康維持にとって、ますます大切になってきているのかもしれません。

 

 

 

 

 

 

■室内気候研究所

公式HP : http://iwall.jp/

Twitter:  https://twitter.com/i_wall_

 

                       

 


「蓄熱建材」は、「調湿建材」にもなれる!

 

 

 

高断熱化を進めていくと、太陽光や夜間の冷涼な外気が持つ「パッシブ・エネルギー」を

 

「蓄熱」して利用することが可能になることは先回お話ししました。

 

 

今回は「蓄熱」には欠かせない潜熱蓄熱建材が持つ「調湿」性能について議論します。

 

 

 

(写真)「調湿」効果を持った「蓄熱建材」の施工風景

 

 

 

珪藻土などの調湿性能がある天然素材を調合した「蓄熱建材」の中には、「調湿」の

 

効果を併せ持つ優れものがあります。

 

 

室内側の壁や天井表面にこの建材を施工すると安定した室温が得られるばかりでなく、

 

夏はサラサラ、冬はウルウルの天然の「調湿効果」が得られるのです。

 

 

 

 

 

 

 

実験室での調湿性能試験をわかりやすく可視化するために、仕上げの異なる小型の箱を

 

二つ用意して、内装材の調湿効果を確認することにしました。

 

 

 

(写真)ビニールクロスを比較対象にした「調湿建材」の性能評価

 

 

 

 

ビニールクロスと「調湿建材」を各々内表面に施工した試験箱の中に、コップに入れたお湯を

 

静置して相対湿度の変化の様子を比較して下の図に示しました。

 

 

 

 

 

 

水分の透過性が低い塩化ビニールシート(ビニールクロス)の箱は、お湯を置いた直後から

 

急激に相対湿度が上昇し、前面のパネルには結露が生じてしまいました。

 

 

一方「調湿建材」を施工すると、水蒸気は壁に吸収され快適範囲を自動的に維持します。

 

 

 

(写真)「プレミアム・パッシブハウス」に施工された「蓄熱・調湿」壁材

 

 

 

もちろん実際の住宅にこの建材を施工した時にも、同様の効果が得られることが実証試験の

 

結果からも明らかになっています。

 

 

 

 

 

 

 

 

炊事や入浴、洗濯物の乾燥など生活で生じた水蒸気は「蓄熱建材」に吸収され、相対湿度が

 

低下してきたときには室内へと再放散されます。

 

 

自然の力で、室内の水蒸気を「呼吸」してくれる建材と言えるかもしれません。

 

 

 

 

 

 

 

結露やカビの原因にもなる相対湿度の上昇を、人間の健康にとって最適な状態に保って

 

くれる「調湿建材」のパッシブ調湿効果が注目されています。

 

 

 

 

 

 

 

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