革新的な窓システムは、ZEHの普及に貢献できるか?

 

 

以前にも述べましたが「まど」は外界と室内環境をつなぐ「情報のフィルター」の役割を

 

担っています。「まど」は生活に必要な外界の情報を、必要な量だけ透過することで、

 

室内に良質な刺激を与えてくれるシステムなのです。

 

 

 

建築は「フィルター」と「シェルター」という異なる機能で構成される。

 

壁や床、屋根などの建築躯体が、外界の変化を遮断して安心感を醸成する「シェルター」

 

の役割を担っているのとは好対照です。

 

 

 

 

室内に自然な光や風などの変化を取り込み、時間の流れや外界の変化を知らせてくれるのは

 

「まど」の大切な機能の一つです。また、視線や眺望を得ることで自然や周囲環境と

 

「ツナガル」ことができるのも「まど」のおかげでしょう。

 

 

発電所の管制室や地下鉄の運転席など「シェルター」の中での生活を想像してみてください。

 

自然と完全に隔絶された環境の中で緊張を強いられることは、過大なストレスを生みます。

 

 

 

革新的な「窓システム」の研究開発が、産学連携で実施されています。

 

少子高齢化やテレワークの普及による働き方の多様化といった社会的な背景を受けて、健康

 

・快適で知的生産性の高い「ウェルネス住宅」づくりに資する革新的な窓システムの開発を

 

目的とした産学連携研究が、北海道職業能力開発大学校で開始されました。

 

 

(写真)ガラスの性能評価試験の様子(北海道職能大)

 

 

窓の性能には貫流する熱量を抑制する断熱性能の他に、日射熱取得率や可視光透過率などを

 

最適化することが求められます。特に寒冷地におけるパッシブ住宅の普及には断熱性と日射

 

取得率が高い高性能ガラスの開発が喫緊の課題となっています。

 

 

     

(写真)電圧で透過性が変化する調光フィルムの例

 

 

また、日射熱取得や連続する居間空間の環境改善のために付設される「グリーンハウス」

 

などのガラス付設空間では、日射による夏場の過昇温が課題と指摘されています。これらの

 

空間では維持管理の問題から、カーテンやブラインドなどの調光システムが使用できない

 

ことも予見されます。

 

北海道職能大では、高性能ガラスと調光性能を有したフィルムを組み合わせて設置することで、

 

眺望や日射受熱量をアクティブにコントロールできる新規の窓システムを目指した研究が

 

行われています。

 

 

 

眺望をアクティブにコントロールして、「ツナガル」家づくりを。

 

ZEHの普及に伴って、減り続けてている開口部の面積。そして、外界の刺激を取り入れ

 

ながら、精神的な活動を豊かにしていきたいという住要求の高まり。

 

 

伝統的な住文化を未来へと継承してくれる革新的な窓システム技術が、これら問題に

 

解決を与えてくれる日も近いのかもしれません。

 

 

(写真)開放感に溢れたテラスを囲んで「ツナガル内外の空間」(SUDOホーム)

 

 

(写真)スマート調光ガラス 「HALIO」(AGC Studio)

 

[HALIO] 公式HP: https://premium.ipros.jp/agc_asahi/catalog/detail/394058/

 

 

 

 

☆室内気候研究所

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ZEHを流行で終わらせないためには、何が必要か?

 

 

 

 

日本政府は、2014年4月に閣議決定された「エネルギー基本計画」で「2020年までに

 

標準的な注文戸建新築住宅の過半数でZEHの実現を目指す」ことを政策目標としています。

 

 

 

(出展)資源エネルギー庁_公式HP (http://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/zeh/)

 

 

 

 

ZEH(Net Zero Energy House)とは、「外皮の断熱性能等を大幅に向上させるとともに、

 

高効率な省エネルギー設備と太陽光発電機などの創エネルギーシステムを導入することで、

 

室内環境の質を維持しつつ、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した

 

住宅」の総称です。

 

 

高断熱住宅の普及、地球温暖化対策やエネルギー安全保障の観点からも、その推進が期待

 

されているZEH。今回は、ZEHの現場でどのような問題が取りざたされているのか、

 

考えてみることにしましょう。

 

 

好循環を生む「ZEH」普及のために、ハードルはあるのか?

 

健康的な住環境を創出するとともに地球温暖化の防止にも役立ち、さらに光熱費を抑える

 

ことができるZEH。すぐにでも普及しそうなZEHですが、そこにはかなり高いハードルが

 

存在しているようです。

 

 

住宅をZEH化するためには断熱性能を強化し、高性能な空調設備や太陽光発電システム

 

などを導入をする必要がありますから、数百万円単位のイニシャルコストが必要です。

 

また、投資額が大きいので費用の回収には長期間を要することになります。

 

政府は、この問題を解決するために「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス支援事業」に

 

おける補助金制度を設け、蓄電池の設置費用を含め一定額の補助金を支給しています。

 

 

(写真)軸組構法の特徴を生かした、首里城の開放的な和室空間と「間戸」

 

 

 

ZEHで狭小化された開口部は、日本の住文化を守れるか。

 

経済合理性の観点以外に、ZEHの現場でどのような問題が指摘されているのでしょうか?

 

 

ZEHの建設では一次エネルギー消費量を削減するために、外皮性能の大幅な高性能化が

 

義務化されています。もちろん断熱性能の向上のためには費用がかかりますので、これを

 

圧縮する目的で比較的に断熱性能が脆弱な「窓」の面積をどんどん小さくしようとする

 

住宅が増えていると言うのです。

 

 

外皮性能の向上を目的とした規制が、住宅のデザインを歪めかねない実態があります。

 

 

「間戸」には「窓」との根本的な意味の違いが存在している。

 

もともと軸組工法の特徴を生かして開放的な「間戸」を設け、自然の変化を身近に感じながら

 

生活を営んできた日本人の持つ住文化が、ZEH普及のために毀損されようとしていると言える

 

のかもしれません。

 

 

先進的な技術であるZEHを一過性のものに終わらせることなく日本に根付かせるためには、

 

伝統的な「住文化」に「技術」をなじませていく不断の努力が不可欠なようです。

 

 

(写真) ハイデルベルク城の、組積造の小さな「窓」

 

 

 

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住宅の「安全性確保」は、健康リスクの排除から始めよう。 #住宅 #健康 #死亡リスク #熱性能

 

 

 

前回は冬の4大疾病の発症リスクと、室内環境との関係について考えてみました。

 

今回は住宅内で心肺停止状態となり緊急搬送される「CPAリスク」と、その予防策について

 

考えてみることにしましょう。

 

 

 

CPA発症リスクを放置して、住宅の「安全性確保」はできたと言えるか?

 

下に住宅の「ウエルネスの構造」に関する概念図を再掲してみました。

 

これまで災害の発生時でも、人命を守るために最低限必要な住性能を「安全性の確保」と

 

定義して議論を進めてきましたが、重大な健康被害のリスクを低減するための環境維持は

 

「健康・快適」環境の創出という概念と同次元で議論しても良いのでしょうか?

 

 

 

 

 

暮らしているだけで心肺停止を引き起こし、健康リスクが高まるような室内環境。

 

 

これを放置していては、住宅に求められる安全性が十分に確保されているとは言えませんね。

 

健康リスクの排除は人命に関わるほど重要な要素なのですから、耐震性能と同等の意識で

 

対策が講じられるべきなのではないでしょうか。

 

 

「健康・快適」の領域で議論すべき論点は、人生100年時代を健康で幸福に生き抜くために

 

必要な健康増進に資する室内環境であって、例えば運動や睡眠を十分に取れる環境を創出する

 

ための効果的な方法を議論することなのです。

 

 

疾病リスクの高い住宅環境を放置したままで、健康増進を議論することには根本的な矛盾が

 

存在していると考えられます。

 

 

 

冬型の心肺停止事故が北海道などの寒冷地よりも、温暖地で多発する理由は?

 

以下の図は心肺停止状態で緊急搬送された高齢者数の単位人口当たり比率を、都道府県ごとに

 

整理して示しています。

 

健康リスクには地域間格差が歴然として存在していることに、改めて驚かされます。

 

 

 

 

心疾患、脳血管疾患は、冬季間に発症リスクが高まる「季節病」であると言われています。

 

これらの疾患で緊急搬送されるリスクには地域間格差が厳然と存在しており、積雪寒冷地

 

と言われる北海道や北東北よりも近畿以西の西日本地域など、いわゆる温暖地が圧倒的に

 

健康リスクが高く、地域の気候条件とは無関係なのです。

 

 

心疾患リスクは室温が12℃を下回ることで高まると言われていますので、CPA発生件数が

 

高い地域では室温が12℃よりも低下する時間帯、もしくは場所が住宅内に存在していることが

 

容易に予見されます。

 

 

断熱性能を十分に高め、全館連続暖房の普及を進めてきた北海道や北東北地域ではCPA発症

 

リスクが低いことからも、住宅の温熱環境の改善が健康リスクの低減にはとても効果的で

 

あることが明示されているのです。

 

 

 

健康リスクの排除は、幸福な人生にとって不可欠な条件ではないのか?

 

健康寿命を延ばすために適度な運動を励行し、摂取する食物の質を吟味して選択している人は

 

少なくないでしょう。しかし、室内環境が原因となる健康リスクの高い住宅で暮らす限り、

 

いつ重大疾病を発症してもおかしくはない、ということを肝に銘じなくてはいけません。

 

 

 

断熱性能の評価指標を「省エネ基準」から「健康基準」へと転換していこう。

 

断熱性能を蔑ろにしながら、華美な内装や高性能設備の導入のために費用を傾斜配分している

 

住宅はないでしょうか? また、断熱性能が低くて健康を脅かす可能性のある無断熱住宅に

 

対する国の施策は十分でしょうか?

 

 

住宅のウエルネス向上は、「冬型の健康リスクを住宅から排除する」ことから始めましょう。

 

 

 

 

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適切な室温維持は、死亡リスクを低下させる。

 

 

 

前回は広域停電などの重大災害が発生した時に、住宅の断熱性能によって生存リスクが

 

どれほど影響を受けるのか、という問題について考えてみました。今回は4大疾病に

 

よる冬季間の死亡率格差に関する研究成果をもとに、温熱環境と健康について再考して

 

みたいと思います。

 

 

呼吸器疾患のリスクが高まる、室温が16℃以下の地域が多い理由は?

 

冬季に死亡率が上昇する原因三大疾患として心疾患、脳血管疾患、呼吸器疾患がよく

 

知られています。また、急激な血圧変動に起因すると考えられる二次的な死因として

 

溺死・溺水が最近注目を集めています。

 

 

 

 

これら4大疾患による冬季死亡率の地域間格差を、既往の研究成果をもとにグラフ化して

 

示してみました。寒冷地である北海道の厳寒期死亡率と基準に比較すると、温暖な気候の

 

地域と考えられている西日本地域の冬季間死亡率が非常に高いことがわかります。特に

 

呼吸器疾患による死亡率は地域格差が大きく、近畿、北陸及び四国の死亡率は北海道の

 

5倍を超過していることが学術研究の結果から明らかになりました。

 

 

英国保健省の環境基準では「呼吸器疾患に影響の出る室温」を16℃と規定しています。

 

ここから当該地域では冬季間の室温が16℃に維持できていない可能性が指摘できそうです。

 

また、心疾患に比べて呼吸器疾患の死亡率格差が拡大してしまうのは、心疾患への影響が

 

出始める室温(12℃)よりも呼吸器疾患への影響温度が高く、結果として室温依存性が

 

高まるためと考えることができそうです。

 

 

温暖地ほど設定室温が低く、室間の温度差が大きいことがリスクを増大させる。

 

これらの原因として温暖地域の断熱性能の低さが挙げられます。住戸あたりのエネルギー

 

消費量の地域間格差をなくすという意味では、断熱性能の地域基準は一定の合理性を

 

持っています。

 

 

一方で温暖地域に見られる「冬の寒さは耐えるもの」という生活習慣とも相まって、

 

寒さを我慢して暖房の使用を避けるといった文化も見られることから、地域間格差の是正には

 

健康リスクを高めない室温維持に必要な断熱性能の確保という指標も必要になりそうです。

 

 

室温・湿度・空気清浄度の維持で、呼吸器疾患リスクを減らそう。

 

呼吸器疾患への対策は室温の維持に加えて、相対湿度の調節、空気清浄度の維持も大切な

 

要素です。健康リスク低減のため、風邪を引きにくい環境を創ることを目標にしたいものです。

 

 

ここでも健康被害に会いやすいのは、体力や免疫力の弱いご長寿さんと乳幼児です。

 

風邪は万病のもと、と古説にも言い伝えられています。

 

 

重篤な肺炎も、元を正せば断熱不足で室温が低かっただけなのかもしれないのですから。

 

 

 

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住宅の「断熱」は、寒さから身を守ってくれるか?

 

 

 

もしも厳冬期にブラックアウトが起きて、暖房が使えななくなったら!

 

災害大国日本では地震による二次的な被害を可能な限り抑制するため、深刻な事態を

 

想定した日頃の備えが常に必要になります。今回は、住宅の安全性を担保してくれる

 

性能の一つである「断熱」の役割を、簡単な計算を使って確認してみましょう。

 

 

 

 

 

人命にとって危機的な状況を緩和してくれる、住宅の必須性能とは。

 

2018年9月の北海道大地震では広域停電の解消までに3日を要しましたが、厳冬期に

 

ブラックアウトが起きたとしたら、住宅の室温はどのくらいまで低下するのでしょうか?

 

そして被災者の健康は、どのような影響を受けるのでしょう?

 

 

ここでは最悪な状況を仮定して、「断熱」と室温との関係を予測してみましょう。

 

 

【条件】停電が発生したのは厳冬期の深夜。停電直後に自宅の6畳間へと二人で避難

 

    しましたが、暖房が使えず人間以外に熱を発するものは他にありません。

 

    あいにくこの時期は曇天日が続き、日射による熱取得も期待できませんでした。

 

 

 

 

 

無断熱住宅では、暖房しないと秋口から呼吸器疾患のリスクが高まる?

 

英国保健省の指針によれば、室温が16℃を下回ると呼吸器疾患に影響が出始めます。

 

無断熱・無暖房の住宅では、平均外気温が13℃以下になると室温は16℃まで冷え込みます。

 

平均日較差が10℃だとすると、最低外気温が8℃、最高外気温が18℃の日に相当します。

 

驚くべきことに無断熱住宅ではまだ秋レベルの外気温でも、暖房をしなければ呼吸器疾患の

 

罹患率が上昇する可能性があるということです。

 

 

一方、断熱性能が比較的高い北海道などの寒冷地の住宅では、室温が16℃を下回るのは

 

外気温度が4℃の日ですから、最低気温が氷点下になる日に暖房ができなかったとしても

 

最低限の健康環境が維持できる可能性がありそうです。

 

 

無暖房でも、低体温症リスクを回避できる断熱性能が不可欠でしょう!

 

低体温症による死亡リスクが高まる条件を、断熱性能と外気温度に着目して整理して

 

みましょう。北海道の現行断熱基準をクリアしている住宅では、暖房が停止して低体温の

 

リスクが生起する日平均外気温度は−7℃になります。

 

 

つまり最低気温が−12℃の日でも、無暖房で命を繋ぐことができる可能性があるという

 

ことです。

 

でも北海道ではさらに過酷な厳寒の状況も予測されますので、断熱性能の設計は、

 

まず危機回避のために必要な室温を設定することから始めましょう。

 

 

どのレベルの室温が、災害時でも生命を維持するために必要なのか?

 

ここが断熱性能を決定するための必要条件になります。さらに地域の気象条件や想定する

 

災害のレベルを加味しながら断熱性能の設計を進めていきましょう。

 

 

省エネ基準で規定されている断熱性能は、リスク低減の一つの目安に過ぎません。

 

災害時の耐久性の観点から、「断熱性能」をもう一度見直してみましましょう。

 

 

断熱改修を急いで、環境弱者を死亡リスクから救い出そう!

 

災害時に過酷環境が生じた場合、一番初めに健康被害が及ぶのは、ご長寿さんや乳幼児

 

などの、いわゆる「環境弱者」です。

 

 

無断熱住宅では外気が氷点下になる日には生命が維持できないほどリスクが増大します。

 

さらに心疾患や脳血管疾患のリスクを合わせると、災害時にはとても過酷な状況が生起

 

することが容易に想像できます。

 

 

全国には2,500万戸にも及ぶ無断熱住宅が存在し、そこでは日々の生活が営まれています。

 

建築の専門家は災害時の寒冷による健康リスクに対応するためにも、断熱改修に早急に

 

取り組まなくてはいけないのです。

 

 

 

 

☆室内気候研究所

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「エコナウォール 25」が、グッドデザイン賞を受賞しました。

 

 

 

 

仙台に本拠地を置く(株)北洲が製造・販売する、潜熱蓄熱塗り壁材

 

『エコナウォール 25』が、グッドデザイン賞 2018(住宅用建材・建具部門)

 

を受賞しました。

 

 

 

 

潜熱蓄熱の効果による快適性の向上に加えて、省エネルギー、調湿性能、消臭・空気清浄など

 

健康性能を兼ね備えた、サステナブル建材『エコナウォール 25』。  

 

室内気候研究所も初期段階から、研究開発に参加させていただきました。

 

 

10月31日(水)から11月4日(日)まで、東京ミッドタウン・ホールで開催される

 

「2018年度グッドデザイン賞受賞展」で、他の受賞作品とともに展示される予定です。

 

 

◆グッドデザイン賞2018の公式HPはこちら:

 

http://www.g-mark.org/award/describe/47506?token=kuixCBH3S0

 

◆商品の詳細はこちら:

 

https://www.hokushu.net/kenzai/product/1611/

 

 

                            写真:(株)北洲本社ビル(宮城県富谷市)

 

 

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住宅の安全性は、どう担保されるべきなのか?

 

 

 

大規模な台風や集中豪雨による災害が頻発した、2018年の日本列島。

 

北海道でも観測史上最大となる大地震で土砂災害や地盤の液状化が起き、尊い人命や貴重な

 

財産が失われました。

 

 

住宅は風雨や暑熱・寒冷から人命を守り、地震や台風の被害を可能な限り小さくするという

 

根元的な役割を担っています。

 

今回から住宅建築に期待される機能を分析的に考察して、相互の関連性や将来展望について

 

議論してみたいと思います。

 

 

全ての人が、幸福を追求できる住宅はどう「ツクル」か?

 

建築省エネ機構(IBEC)が提唱している「スマート・ウエルネス・オフィス:SWO」の

 

定義を参考にしながら、住宅が具有すべき機能を図解してみました。

 

住宅のウエルネスを下支えしている機能が「安全性の確保(Resilience)」であるとすると

 

「建築が原因で病気や怪我をしない」ための機能は全て、ここに包含されるべきでしょう。

 

 

 

 

「断熱・気密性能」を高めることは、「安全性の確保」にとって不可欠。

 

風雨や寒冷から身を遠ざけ、地震や台風から命を守るために最低限備えるべき性能とは?

 

全ての住宅が風・雨・雪への耐力や耐震性能を十分に保持すべきとの議論は、台風や

 

地震の被害が多い日本では、おそらく異論のない所でしょう。

 

また厳冬期に停電が起き、暖房が使えなくなった場合でも、寒さから身を守るための

 

備えに断熱・気密性能を高めておくことも「安全性の確保」の観点から大変重要です。

 

 

2,500万戸の「無断熱住宅」から、命を救うために断熱改修を急ごう。

 

2020年から新築住宅の断熱性能基準への適合が、法的に義務付けられることになりました。

 

生活環境の「安全性の確保」という観点からも、大きな前進であると思います。

 

しかし、日本には2,500万戸もの無断熱住宅のストックがあり、そこで生活される方々の

 

「住戸内熱中症」や「冬季4大疾病」に代表される健康リスクはそのまま残ります。

 

ご長寿社会の到来とも相まって、その対応が期待されているところです。

 

 

多発した災害を奇貨として、耐震・断熱改修の完全実施に向けた行動を推進したいものです。

 


 

 

☆室内気候研究所

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エネルギーの分散と貯蔵は、家庭の震災リスクを低減してくれる。

 

 

 

北海道大地震の直後に発生したブラックアウトで、多くの家庭がテレビという大切な情報源を失いました。

 

普段はあまり気にもしていませんでしたが、公共放送から流れる震災情報が途絶すると困りますよね。

 

すっかり普及したワンセグ放送が見られるカーナビシステム。皆さんとても重宝したようです。

 

 

さらに停電が続くと携帯端末のバッテリーもどんどん減って、大切な情報源が使えなくなります。

 

今回の停電でも充電ができる公共施設には、長蛇の列ができたそうです。

 

基地局のバッテリーが、24時間しか持たないことも初めて知りました。電波難民状態です。

 

我が家の自家用車には幸いにもUSBプラグがあり、これも大変助かりました。

 

電力を貯蔵するアイデアの一つとして、EVやPHVの普及も一定の合理性を持っているようです。

 

しかしドイツなどに比較すると、あまりにも脆弱な送電システムしか持たない北海道でEVを普及させることの意味は?

 

軽自動車を含む自家用車の登録台数が280万台を超過する、車社会の北海道。

 

充電のための消費電力は およそ10kW/台ですから、同時充電を可能にするためには?

 

冬の最大電力需要の4倍近い2,800万kWの電力能力を追加し、配電しなくてはいけないのですから。

 

 

家庭のエネルギーの防災対策で大切なことは、エネルギー源を分散させて備蓄することがあげられます。

 

我が家では調理用にLPガスを利用し暖房用の灯油備蓄もありますので、あとは電力なしでも暖房できるストーブがあれば。

 

「選択と集中」によってシステム効率は高まるのですが、非常時に全てがダウンすると手の施しようがありません。

 

災害リスクの回避のために、家庭では石油、ガスそして電力をバランスよく利用することも必要ではないでしょうか。

 

 

北海道の全ての住戸に1kWのPVと蓄電池を配布すべき、との提言をされる方がいるようです。

 

電力インフラの議論に一石を投じる見識ですが、そもそもPVを設置できるほど耐震性能が高くない住宅も多いのが現実です。

 

落雪のない陸屋根が普及した北海道では、雨漏りさせずに設置するのも一苦労。

 

またメガソーラーが復旧したのも、停電が解決してから一週間が経過してからでした。

 

太陽光発電の普及が、災害耐力の増強に直結するというのはいささか議論が短絡しているような気がします。

 

 

全体の合意形成が必要な時間のかかる対策と、個人が自助努力でできる防災は区別しながら議論すべきです。

 

冬本番を前に今自分でできる防災は何か? 真剣に考える良い機会です。

 

一人一人の意識が、命を繋いでいくことにつながるのですから。

 

 

☆室内気候研究所

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防災意識が高まったのは、不幸中の幸いでしたが。

 

 

 

立て続けに起こった台風21号の被害と北海道大震災。そしてブラックアウト。

 

冬場に大災害や停電が起きた時の恐怖は、北海道民なら容易に想像が付くものです。

 

量販店の棚からは、電力供給なしでも暖房できる石油ストーブが姿を消しました。

 

 

調理だけでなく、暖をとることもできそうなカセット式のガスコンロも品薄。

 

ガスボンベも、入荷次第すぐに品切れになるほどの売れ行きだそうです。

 

でも密閉空間での裸火の使用は、換気に十分な注意が必要です。

 

停電時には、機械換気システムも作動していないことが予想されるのですから。

 

 

こちらは電池コーナー。単4電池がわずかにありますが、パワーのある単1電池は売り切れですね。

 

電力はとても利便性が高いのですが、蓄えておくことが非常に難しいエネルギーなのです。

 

 

最近はどこのスーパーでも、お水とレトルトのお米が入り口近くに置かれるようになりました。

 

冬までに、北海道の全家庭の防災準備が間に合うと良いのですが。

 

 

台風21号の被害で倒れた木々も手付かず。ひと月近く放置された状況が続いています。

 

 

ナナカマドも色づいて、もうすぐそこまで冬が近づいてきています。

 

強靭さ(Resilience)が建築にとっていかに大切なのか、今更ながらに気づかせてくれた大災害。

 

室内気候の評価や対策についても、少しずつ考えて公開して行きたいと思います。

 

 

台風24号で被害を受けられた方はいませんでしたか? とても心配しています。

 

 

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想い出多い実験棟に感謝しつつ「論文一覧」を更新しました。

 

 

望外にも25本以上の査読論文が雑誌に掲載され、数多くの卒業論文執筆も支えてくれた、北海道職能大の『PCM実証実験棟』が、2018年10月に撤去されることになりました。

 

2007年9月に着工してから早いもので11年。毎年のように改修を重ねながら新規の実験テーマを実施できたのも、この実験棟の存在が支えとなってくれたおかげです。

 

 

写真は2007年12月の冬工事の様子。当初から仮設実験棟でのデータ取得を目標としてきましたので、経済性も考慮して外装は樹脂の波板で仕上げることに。PCM建材の性能実証試験に加えて、急遽決定した屋根瓦の実験も加わりバラエティーに富んだ研究が始まろうとしていた頃です。

 

データの取得は順調に進んだものの、やはり大変だったのが冬場の除雪。日本海に面した小樽市銭函では最大積雪深が2m近くになることもあり、水平面全天日射計の維持のためにも毎日の除雪を欠かすことができませんでした。

 

実証試験を積み重ねることで、冬場の日射量が少ない小樽でもパッシブソーラーハウスが実現できること、PCMの潜熱蓄熱によって朝の冷え込みを予防しエネルギーインフラが途絶しても最低限の生活温熱環境が維持できること、ソーラー温水パネルを壁面に垂直設置することで積雪が多くても十分な暖房エネルギーが獲得できることなどなど、貴重な研究成果を多数あげることができました。

 

研究の実施にあたって終始、熱心に取り組んでくれた北海道職業能力開発大学校の教職員や学生の皆さん、共同研究でお世話になった協賛メーカーや工務店、左官工事店の皆さんに、衷心より御礼申し上げる次第です。本当にありがとうございました。

 

これまでに発表した論文リストは、下記のリンクからご覧になることができます。

 

「論文一覧」のリンク: http://iwall.jp/about.html#ronbun

 

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